6月8日に「デザイン思考2-Dayワークショップ@サッポロビール」第2日を開催しました。(報告者:井上暁人 東工大生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士2年 ToTAL2期生)

ToTAL Program Report

6月8日に「デザイン思考2-Dayワークショップ@サッポロビール」第2日を開催しました。(報告:井上暁人 東工大生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士2年 ToTAL2期生)

Day-2 of "Design Thinking 2-Day Workshop@Sapporo Breweries" was held on 8/June (Reported by: Akito Inoue, Human Centered Science and Biomedical Engineering, Tokyo Tech, 2019 ToTAL student)



・科目分類:リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成/Leadership, Followership and Consensus Building (LFCB)

・科目名:TAL.W.501-01 リーダーシップ・グループワーク基礎 S

・プログラム名:デザイン思考2-Dayワークショップ@サッポロビール

・ファシリテーター:中澤雄一郎(アイリーニ・マネジメント・スクール、旧デザイン思考研究所)

・開催日時:6月8日(土)13:30~16:30



2019年6月8日(日)、サッポロビール株式会社本社にてデザイン思考2daysワークショップ(2日目)を行いました。前回に引き続き、サッポロビール提案のテーマのもと、1日目に作成したプロトタイプのブラッシュアップと、ブラッシュアップしたアイデアの発表会を行いました。冒頭に、サッポロビールから、プロトタイプ賞、ブレスト賞、アイデア賞の3つの賞が提供されるとのアナウンスがあり、学生のモチベーションも一気に高まりました。



本記事の構成

1)ワークショップ:ワークの概要(前回の続き)

2)まとめ



1)ワークショップ:ワークの概要

 1日目に引き続き、デザイン思考の流れに沿ってワークショップを進めていきました。今回は、前回行った(D) 実験フェーズの続きからスタートし、前回作成したプロトタイプのブラッシュアップに取り掛かりました。

(D) 実験フェーズ ~前回の続き~

 実験フェーズでは、作成したプロトタイプを実際にユーザーに体験してもらい、ユーザーの生の意見をもとに試行錯誤して、アイデアの精度を高めていきます。今回は、前回作成したプロトタイプの確認作業からスタートしました。テーマとの整合性は取れているか、ユーザーをワクワクさせられるものになっているか、ユーザーに良い影響を与えられるものであるか、プロトタイプの改良を進めていく中で、忘れてしまいがちなテーマやユーザーのニーズに立ち返りました。実験フェーズにおいて何度もユーザーに体験してもらうのは、そうしたユーザーの視点を見失わないようにするためで、実際にグループ内の話し合いでは見えてこなかった課題も、ユーザーに体験してもらうことで思いもつかないような課題やアイデアが出てくることにとても驚きました。

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(図1)実験フェーズの写真

(E) 展開フェーズ ~説明するより見せよう~

 展開フェーズでは、実験フェーズでブラッシュアップしたアイデアを、実際に皆の前で発表しました。デザイン思考はイノベーションのための方法論です。したがってアイデアは今まで世になかった新しいものなので、それを世の人に伝えることは容易ではありません。そこで「説明するより見せよう」が重要になります。事実のみを説明するよりもストーリーとして見せることでアイデアの良さが伝わり、かつ記憶にも残りやすくなります。参加学生は、ユーザーが普段の生活の中で抱える葛藤や矛盾に対して、i) 自らのアイデアがどう解決するか、ii) ユーザーの日常はどう変化するのか、を盛り込んだ寸劇を作り、ストーリーの中でアイデアの有用性を示すことに取り組みました。完成度よりもわかりやすいストーリーを作り上げることがポイントで、参加学生はプロトタイプだけでなく、自らの演技力や音声を駆使し、いかに面白くかつ分かりやすい寸劇にするか工夫を凝らしていました。

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(図2)展開フェーズの写真

 

 発表会は終始和やかな雰囲気で笑いが絶えず、参加学生はみな自分のアイデアに自信をもって演じていました。発表後の質問タイムでは質問や提案、改善点など、新しいアイデアに対して参加学生が興味を持って、議論を活発に交わしていて様子はとても刺激的でした。

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(図3)展開フェーズの雰囲気

(E) 表彰式

 表彰式ではサッポロビールが準備してくださったプロトタイプ賞、ブレスト賞、アイデア賞の発表がありました。

 ブレスト賞は探索フェーズでよりアイデアを出していた容器についての提案をしたチーム、プロトタイプ賞はよりインパクトがあり、かつわかりやすいプロトタイプでゲーム要素を兼ねた容器を提案したチーム、そしてデザイン賞はビール缶の開封を魅力的にする提案を行ったチームに送られました。

 これらの提案以外にも、缶のラベルに料理のレシピや話題、味のイメージを記載する提案や、ビールの新しい飲み方の提案もあり、どれもユニークな提案でした。

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(図4)表彰式の写真

(E) 最後に

デザイン思考のワークショップの最後にサッポロビール株式会社、企画部門開発リーダーの北岡さんと山田先生からコメントがありました。

北岡さんからはデザイン思考の中で、特にユーザーの心の声に着目し、それを形にしたいと言うお話がありました。ユーザーが商品にたどり着く前からすでにストーリーは始まっていて、デザイン思考はそういうユーザーの隠れたニーズに働きかけられる方法論だといえます。また山田先生はイノベーションを生み出す方法論はデザイン思考には限らないという話をされました。デザイン思考を絶対視せず、柔軟な考え方を持って、よりよいものを求め続けるクリエイティブな考え方の重要性を再認識しました。

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(図5)北岡さんの写真

2)まとめ

 私は今回のワークショップの中で、実験フェーズのワークがとても印象に残りました。デザイン思考の中で一番時間がかかるのがこの実験フェーズだと思います。ユーザーのニーズをくみ取り、課題を具体化し、そのための解決策を決めるところまでは意外とスムーズにいくのですが、それを形にすることがいかに難しいかを痛感しました。アイデアの段階では見えなかったものが、形にしてみるだけで、課題がたくさん見えてきて、試行錯誤を繰り返すたびにアイデアの精度が上がっていくのを感じ、実験フェーズそれ自体を楽しんでいる自分がいました。私は今まである課題に対して最適な解決策を一度の試行で見つけようとしてきました。しかし、今回のワークショップを通じ、イノベーションと呼ばれるアイデアは一日にして生まれたものではなく、その背景には実験フェーズにおける試行錯誤が幾万も積み重なっているということ実感をもって感じることができました。そしてイノベーションをもたらした世の先駆者たちを尊敬するとともに、そういう努力と熱意によってイノベーションを生み出せるという可能性を感じることができました。これらの方法論を今後、自身の研究生活の中でも実践していきたいと思います。

 最後に改めて、今回のワークショップのファシリテーションをして頂いたアイリー二・マネジメント・スクール 中澤さん、そしてご協力いただいたサッポロビールの皆さんに心より感謝申し上げます。

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(図6)集合写真

(文責:井上暁人 東工大生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士2年 ToTAL2期生)