社会課題の認知/プロフェッショナルと価値創造:「最新のFinTechは金融や社会に何をもたらすのか?」を開催しました。(報告者:彭 祖癸(ホウ ソキ) ToTAL 2期生)

社会課題の認知/プロフェッショナルと価値創造:「最新のFinTechは金融や社会に何をもたらすのか?」を開催しました。(報告者:彭 祖癸(ホウ ソキ) (工学院 機械系 ライフエンジニアリングコース 修士課程2年 ToTAL 2期生)

・科目分類:社会課題の認知/Recognition of Social Issues

・科目名:TAL.S403 プロフェッショナルと価値創造 I/Professionals & Value Creation I

・プログラム名:最新のFinTechは金融や社会に何をもたらすのか/ How does the latest FinTech affect finance and society

・ゲストスピーカー/Guest Speakers:

 星野英志(Roger Hoshino), Japan Country Head, Finetiq Ltd

 Maurizio Raffone, Managing Director, Finetiq Ltd

・開催日時:21/Jun(Fri) 18:00-20:00



 2019年6月21日(金)、本学大岡山キャンパスにて、Finetiq Ltdの星野英志さん及びMaurizio Raffoneさんをお招きし、「最新のFinTechは金融や社会に何をもたらすのか?」というテーマについてご講演して頂くと共に、参加学生と質疑応答・ディスカッションを行いました。ToTAL所属生およびOPEN参加の学生24名が参加しました。すずかけ台からもリモートで参加しました。



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1.お話の概要:

 Finetiq Ltd は日本と香港に拠点を構え、FinTech注1業界のすべてのステークホルダーに対して解決策を示し、その発展を助ける経営コンサルティング会社です注2。同社の日本カントリーヘッドである星野さん及びCEOであるMaurizioさんはFinTech業界における第一人者で、金融と技術の両方について幅広い経験と深い知見を持ち合わせています。今回は、前半に星野さんが金融にとって重要な2つのテーマである「海外送金」及び「信用創造」に関する最新のFinTechの応用例ついてご紹介し、後半に星野さんとMaurizioさんが学生たちの質問に答えていただきました。



(1).「海外送金」に関するFintechの応用例

 まず、星野さんから従来の海外送金モデルに関する基礎的な知識の説明がありました。グローバル化が激しく進んでいる昨今、海外送金の需要も高まっています。しかし、従来の銀行による海外送金の費用が非常に高額です。内訳として大きく分けると「送金手数料」、「為替レート手数料」、「リフティングチャージ料」と「中継・受取銀行手数料」の4種類があり、これらの総額は送金額の5%~15%前後であると言われています。さらに、送金するためには銀行の口座を開設しなければならないことや、実際お金を受け取るまでに時間がかかることなどの問題点もあります。そこで、星野さんはFinTechを利用したTransferWiseやCryptocurrencyなどのサービスが従来の銀行による送金の問題点の解決策の一つであることを説明いただきました。これらのサービスは送金プロセスの一部をデータ化し、インターネットを介して行うことによって、銀行や両替業者のコストを最小限に抑えることができます。さらに、従来の送金システムの複雑な手順を一部省略ができるため、送金は銀行よりスピーディーに行われる利点もあります。このように、FinTechの普及は我々の生活に多くの利便性をもたらすことができます。

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(2).「信用創造」に関するFintechの応用例

 前述のように、FinTechの普及は我々の生活に多くの利便性をもたらすことが可能です。星野さんは、このような利便性はやがて我々の通貨に対する考え方を変えるのではないかと話しました。戦後、先進国の間では流通通貨として価値が金に裏付けられた兌換紙幣が多く使用されたが、1971年のニクソン・ショック以降は金と米ドルの兌換が停止されたため、流通通貨は兌換紙幣から政府の信用で価値が維持された不換紙幣へとシフトしました。しかし、不換紙幣は政府の通貨供給量の調整や経済政策に依存するため、完全に信頼を置くのは危険性が伴います。ジンバブエ政府の経済政策の失敗によりジンバブエドルの価値の急落の例はその一例です。そこで、星野さんは、これからの時代の一部の貨幣の価値は技術に基づくことになるではないかと指摘されました。ビットコインは、ブロックチェーン技術による仮想通貨として、その例です。ただ、通貨としての本格的な普及は、その利用者が、かなりの数に達することが前提ですし、法令含め制度上の問題もあります。最近のFacebookも仮想通貨Libraは、膨大なFacebook 利用者を考えると注目に値します。今後、FinTechの進化によって我々の世界はどう変わるのかが楽しみです。



(3).質疑応答

 講義のあと、星野さんとMaurizioさんがFinTechのプロフェッショナルの視点から講義の内容に関する質問のみならず、「なぜ国を挙げてキャッシュレスをやるのか」や「世界は単一通貨にならないのか」などの質問についても丁寧にご説明いただきました。さらに、金融機関への就職などについても貴重なアドバイスをいただきました。



2.感想:

 ここからは、私個人の感想を述べていきます。私は本授業を履修した理由は:①科学技術は如何に実社会を変革させるのかについて理解したいため、②プロフェッショナルとして如何に新しい価値を創造するのかについて知見を得たいためです。①に関しては、今回星野さんとMaurizioさんから情報技術の進歩は金融の世界にこれまでどのような変革をもたらし、そしてこれからどこへ向かおうとしているのかについて詳しく説明していただき、普段こういった知識を得る機会のない私にとっては大変勉強になりました。②に関しては、具体的な説明はなかったものの、講義で伝わってくる星野さんとMaurizioさんのFinTechに対する高いプロ意識から、私は「技術」と「人間」の両方への深い理解を持つ人こそ、新しい価値を創造できるではないかと思いました。本講義で得られた知見を自分のキャリアに活かしたいと思います。



3.終わりに:

 以上が本講義の内容でした。2時間という短い時間でまだまだ学びきれていない部分も沢山あったと思いますが、本講義で得られた知識は我々の今後にとって大いに役立つと思います。

 最後に、お忙しい中このような機会を提供してくださった星野さん及びMaurizioさんに心よりお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

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注1:FinTechとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。

注2:Finetiqのホームページ:https://www.finetiq.io/

(文責:彭祖癸、工学院機械系ライフエンジニアリングコースM1、ToTAL2期生)