リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成/リーダーシップ・グループワーク実践【S】「リーン・ローンチパッド 第6回(最終回)」6月28日活動報告(報告者:岡崎めぐみ、ToTAL1期生)

リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成/リーダーシップ・グループワーク実践【S】「リーン・ローンチパッド 第6回(最終回)」6月28日活動報告



・科目分類:リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成

・科目名:TAL.W.601-01 リーダーシップ・グループワーク実践【S】

・プログラム名:Lean Launchpad 2019

・ファシリテータ:堤 孝志、飯野 将人(ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ(株))

・開催日時:6月28日(金) 17:00-20:00



概要

6月28日(金)に、事業創造実践ワークショップ「Lean Launchpad (LLP)」第6回(最終回)を行ないました。4月の第1回の2日間合宿から3か月間、6回にわたり行われてきたワークショップも、今回が最終回です。最終回では、今までの集大成として「各チームが提案したいサービスについて、投資家向けのプレゼンテーションを行う」という想定のもと、発表を行いました。今回は講師である堤さん・飯野さんの他に、東工大AGLのOBOGや、過去に名古屋大学でLLPを受講し、その際のアイデアを基に起業した先輩方をゲストとしてお迎えしました。

~ワークショップの流れ~

(1) 各チームによるプレゼンテーション(目安8分)・質疑応答

(2) 講師・ゲスト・学生全員(チームごと)による優秀チームへの投票

(3) ゲスト(airKitchen)による事業紹介プレゼンテーション

(4) 優秀チーム(Steve Blank Award)発表

(5) 講評

終了後には大岡山駅近くの飲食店でWell Done Partyが開催され、参加者同士夕食を共にしながら、交流を楽しみました。



各チームによるプレゼンテーション

① Entraide:山本幸代、Anh、Sameer、国分

~大学生が使わなくなった教科書を、必要としている新入生に売るマッチングサービス~

「大学で教科書として使用する専門書は一般的に高額」、「せっかく教科書を買っても、先生によって使わない場合もあり全然利用できていない」という実体験からこのサービスが提案されました。こういった声は日本人学生だけでなく、留学生にとっても切実だそうで、チームEntraideは日本人学生と留学生が協同してこの問題の解決に取り組みました。

売り手は、教科書を購入したが既に用済みになってしまい、置き場所や処分方法に困っている先輩学生。一方買い手は特定の教科書が欲しい新入生や後輩学生です。Entraideは売り手の学生から教科書を定価の20~30%で買い取り、買い手に対して定価の50~70%で売る、という仲介役になります。売買は基本Entraideの店頭や、大学生にとってもなじみのある生協や図書館で行いますが、買い手にとって欲しい教科書が店頭にあるかどうか、オンラインで見られるように配慮しています。

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インタビューを重ねた結果、実際に東工大生から教養科目の教科書を約20冊、Entraideとして買い取ることに成功したとのことでした。さらに、その買い取った教科書の中の1冊を、専門科目の教科書として売ることもできたそうです。短期間の間に売買が成立していたチームは非常に少なかったので、素晴らしいなと思いました。

 質疑応答では、サービスを広げていくにあたり、どのように広告を行うかや、実際運用予定の資金の内訳、将来への展望に関する質問など、サービス内容に関して深掘りするやり取りが多かったです。それだけサービスの具体性が高いことを感じました。



② RememberMe:Marcos、Chen、三好、山本美里、Peter

~世の中にあるすべての製品・サービスに対するフィードバックやQ&Aに対応できるプラットフォーム作り~

 こちらも留学生3人を含む国際性豊かな5人のチームです。

 このチームが提供したい最終的なサービスの内容は、「質の高い答えが得られ、かつ簡単に投稿できる質問箱を作る」というものでした。例えば、ある一足の靴が欲しいと考えているとき。履き心地についてや、ハイキング・ランニングなどにも適しているかなど、購入する前に予め質問する場として利用できます。その投稿に対し、すでに同じ種類の靴を持っている人やメーカーの担当者が、自らの体験や製品情報をシェアして疑問を解決することができます。ユーザー個人の体験は、その靴を販売している会社にとってフィードバックとして見ることができ、会社・客双方にとってメリットのあるサービスを提案しました。

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各企業や団体はホームページ等で質問・意見を随時受け付けていますが、コンタクトフォームは煩雑なものが多く、連絡しても返信が遅いことが問題点です。このサービスでは、現在すでにユーザーとなっている人が間に入れるプラットフォームを作ることで、迅速に、かつ正確な情報を得ることができるようになるとのことでした。

当日の質疑応答では、対象を企業と(学生)団体両方としている点について、それぞれQ&Aに対するモチベーションやニーズが異なるため、同じフォームで一概にフィードバックを得ることは難しいのではないか、という意見が出されました。また、前回までは、ノスタルジックなテーマ(昔のアーティストなど)に共感した人が投稿を表示し続けるためにサポートをするというモデルでしたが、この2週間でpivotしており、インタビューもほとんどできなかったことから、サービスのMVP、顧客のニーズのメカニズムもはっきりしない状態で終了したのは残念でした。



③ SS:木之内、眞鍋、後藤、平野

~訪日旅行者向けの自然災害時における天気・災害・交通情報サービス~

 ウェザーニュース(株)の会社員4人のチームです。

 東京オリンピックがいよいよ来年に迫ってきていますが、大会期間中に台風などの大きな災害を伴うような天気になったら...せっかく頑張ってチケットを購入した競技は予定通りに開催されるのか?電車、バスの交通状況は?大雨が降りそうなのは何時頃?など、不安要素がたくさんあります。外国から来た訪日観光客はなおさら情報を得ることが難しいかもしれません。チームSSは、そのような大規模災害級の天候時に役立つ、訪日外国人向けのアプリを提案しました。

 サービス概要としては、外国人観光客が多く宿泊するホテルの各部屋にQRコードを貼り、それを読み取ることで、天気予報、大会の開催情報、飛行機電車バスを含む交通情報をオンタイムで知ることができます。言語は観光客自身の母国語を選べるようにし、必要な情報に自分でアクセスできるというサービスです。料金はQRコードを設置するホテルが毎月支払います。将来的には保険の付帯サービスとして観光客自身が支払う仕組みも導入予定だそうです。

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質疑応答では、時々しか来ない災害に対するホテル・外国人にとってのニーズに関して集中的に議論がなされていました。災害に遭ったことのある人とない人とでは意識に差があるのは確かで、その点は今後の課題として挙げられていました。しかし、あるホテルから利用したいとの意見を得られたなど、サービスの必要性は高そうだなという印象を得ました。


④ Movelit (旧Buy! Buy!):木田、Alan、小坂、河崎

~一見入りにくそうなローカルな飲食店の雰囲気を360°の動画で味わえる~

 東京の中心街では非常に多くの飲食店がひしめいています。チェーン店のファミレスや、五つ星評価のレストラン、個人経営の昔ながらのカフェやバーなどなど...中にはゲイバーやハッカーズバーといった「雰囲気的、名前的になかなか入りづらい」というお店もあります。Movelitは、そういった一見さんが入りにくいと感じるお店の中の動画(360°)を見ることができるアプリです。

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サービスの対象としては、ほぼ常連さんばかりが来店して新しい客を取り込みたい個人経営のバーやレストランと、入ってみたいお店があるけれど入りにくいと感じているお客さんになります。初めはバーやレストラン側がMovelitに月額制のお金を支払い→PR動画を作成→Movelitに投稿→それを見た客が安心してそのお店に行く、という流れです。お店を利用した一般の客も動画を投稿することができます。さらに画像、映像による体験の共有にプラスして、そのお店の料理に関しても詳細な情報を掲載することで、そのお店に行くことで得られる体験を予め深く知ることができるというサービスです。

 出席したゲストからは、「動画を撮るのが先か、配信された動画を見る人が先か」という質問が出ていました。また、動画だけで、店にとって来てほしい客層を本当に取り込めるのか、という鋭い指摘もありました。個人的には「入りにくい」と判断する基準が難しいのかなと思いながらプレゼンを聴いていましたが、マイナーな飲食店に目を付けた点はユニークで面白いサービスだと感じました。



⑤ Teclat:松浦、鴨居、小野、岡崎

~プログラミングを学びたい子どもがプロのエンジニアから直接指導を受けられるワークショップ情報サイトの設立~

 Teclatは、「プロのエンジニアから直接プログラミングを学べる機会を多く提供できる」ワークショップのプラットフォーム作りを試みました。「プログラミングを学びたい・学ばせたい」親子がTeclatのサイトにアクセスすることで、プロのエンジニアが講師を務めるワークショップの情報が得られ、その場で申し込むこともできるというサービスです。一口に「プログラミング」と言っても、プログラミング言語の種類はたくさんあります。そこでTeclatは、「何を学べて、どんな内容なのか」を簡単に調べられるサイトの開発を目指しました。

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小中学生に対しては、ロボットワークショップに参加している親子に向けて主にインタビューを行いました。メンバーの一人が、自身の経験を活かしたワークショップ案を複数の親子に提示すると、実際に受けてみたいというご意見を頂戴し、開催する運びとなりました。また、高校生に対しては、都内の複数の高校にインタビューを行い、実際の教育現場におけるプログラミングの取り組みについて調査しました。結果として、学園祭で劇が盛んな学校から、観劇の事前予約において抽選システムアプリを導入したいという要望を得、Early Adopter(EA)と認識し、7月に学校でワークショップを開催する予定です。講師に関しても、ギルドワークスの社員の方をはじめとして、プログラマーやエンジニアとして働いている何人かの方からも協力に前向きなご意見をいただきました。講師の数を増やして対応できるワークショップの幅を広げることが今後の課題です。

 質疑応答では講師の研修方法や親と子の間でのニーズの違いについて質問をいただきました。



⑥ Prenup (旧UandI):東条、力石、高橋

~質問に答えるだけで出来上がる、婚前契約書作成お手伝いサービス~

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こちらのチームでは、初回ワークショップの段階から「カップルのコミュニケーションを円滑にするためのサービス」を考え、なんか以下の方向転換を経て、最終的に「婚前契約書作成お手伝いする」サービスを考案しました。婚前契約書は、結婚前のカップルが、結婚後の生活全般に関して契約という形で約束を交わすものですが、作成する場合は弁護士や行政書士に依頼することがほとんどです。Prenupでは、堅苦しい言葉はほとんど使用せず、分類されたカテゴリー内のアンケートに答えるだけで、ブラウザ上で手軽に婚前契約書を作成できるというサービスになります。また、作成を弁護士や行政書士に依頼した場合に3万円程度かかる一方、Prenupは3000円程度の買い切りサービスにすることで、価格的にもメリットが得られるように工夫しました。

 このサービスに対しては、すでに結婚を経験され家庭を持っている社会人参加者やゲストから多くのコメントや質問が出ていました。わざわざ婚前契約書を作らずとも家事分担等のルールを作っている夫婦は多いようで、そういった人たちの違いと、契約書を結ぶ人の強いニーズに関して議論がありました。

このチームも、上記の事業内容(サービスと顧客)になったのは前回のワークショップ後で、まだ2週間も経っておらず、インタビューも十分できなかったので、MVPの顧客受け入れレベル(プロダクトマーケットフィット)の検証、ニーズのメカニズムの確定も不できなかったのは残念でした。



⑦ マモルンデス!(旧B-four):小山、古山、飯沼、林

~大規模災害時の出退勤を管理できる法人向けの気象・交通予報の提供~

 こちらもウェザーニュース(株)の社員さんで構成されているチームです。

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どんなに天気が荒れたとしてもお店を開かなければいけない業界・会社に対し、1週間前から天気予報と鉄道運行予定の情報を提供することで、社員の出退勤の判断をサポートするサービスを提案しました。こちらのチームはメンバーによるコミカルな劇でサービスの概要を説明し、楽しくプレゼンを拝聴しました。

 銀行や工場は時間通りに開業しなければならず、荒天が予想される日の担当者は前日ホテルなどに宿泊するなどの対応を取っています。しかし、直前にホテルを予約しようとするとなかなか空きがなかったり、予報を見るだけでは前泊すべきかどうか判断に迷ったりすることもあったようです。メガバンクは、銀行法の縛りもあり「切実なニーズ」はあると思われましたが、実際にインタビューを行ったところ、メガバンクの中でも、プロダクトマーケットフィットがあると目されるある銀行から導入に前向きな意見が得られたそうで、EAが得られたと思いました。

 質疑応答では、主にマネタイズに関する質問が多かったです。このサービスに関しても天候に関する危機管理意識の差がニーズの強さに影響を及ぼす可能性がありますが、企業向けに絞ったサービスは、インタビューのアポ取り一つを取っても、個人向けよりハードルが高く、大変だったと思いますし、話の進め方等は参考になることが多かったです。



投票・優秀チーム発表

 以上7チームの発表を終え、講師とゲスト、学生はチームごとで投票を行った結果、優秀チームとしてTeclatが選出され、Steve Blank Awardが授与されました。私もTeclatのメンバーの一員として、多くの方から評価をしていただくことができ、とても嬉しかったです。同時に、3か月間共に議論しながらチームワークを進めてきたメンバーにはもちろん、スタートアップのいろはを教えてくださった講師の先生方、お忙しい中インタビューに協力していただいたすべての皆様、さらには毎回の授業で厳しくも的確な質問をしてくださった受講者の皆様全員に、感謝申し上げます。ありがとうございました。

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LLP
全体を通しての感想

 正直なところ、初回のワークショップで「次回までにインタビューを20件すること」という課題が出たとき、「多すぎる」と思いました。しかし実際には、20件インタビューしたところでは全然情報が足りないことに気付きました。何が何でもこのサービスを利用したい、という人になかなか巡り合えず、果たして私たちが生み出そうとしているサービスの内容や方向性は顧客に何らかの価値を提供できるのか、グループで何度も話し合いました。顧客になり得る多くの人から情報を得ることが如何に大事で大変なことか、身を持って体感できたと思います。

また同時にインタビューを通して、顧客のニーズを的確に深く知ることがいかに難しいかを実感しました。インタビューは長時間も何度も行えるわけでなないので、決められた時間の中で、正確にニーズを得られる程の深い話を如何に聞きだすか。『○○したいなあ、~~が欲しいなあ』の本音はどこにあるのか。この点が一番苦労しました。この本音を確定できるかどうかは、サービスを提供する側が決めるMVPによるものであることも重要と思いました。顧客の反応から、サービスのMVPをdefineし直す作業は極めて重要と思いました。

LLPを通して、ビジネスはすべて人が存在することで成り立っているということを改めて実感しました。当たり前すぎることかもしれませんが、サービスや商品を考える人がいて、それを一般向けに改良する人もいて、そして最後にそれを買う人がいるからビジネスは成り立つ。今はどんなに大きな会社でも、はじめの一歩はすべて、一人の客を見つけるところから始まっている。このことを学生の身分でありながら肌で感じることができたことは、私にとって非常に良い経験になったと思います。

 LLP受講前は、起業って大変なんだろうなあ...程度の漠然とした認識しかありませんでした。しかし今では、人に対して役に立つ、何らかの価値を提供する手段として、起業は一つの選択肢だと考えるようになりました。これほど多くのことを学び、体験できたのも、講師の堤さんと飯野さんのご指導があったからこそだと思います。丁寧に優しく、時に厳しく指導していただいたお二人には心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

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(文責:東京工業大学 理学院化学系 ToTAL1期生 岡崎めぐみ)