ToTAL科目「リーダーシップ・グループワーク基礎」対象のワークショップ「リーダーシップコアプログラム(第4回)」を2025年6月28日に行いました。

ファシリテーター松崎由理 東京科学大学 リーダーシップ教育院 特任准教授
開催日時2025年6月28日(土) 14:00–18:00
開催場所すずかけ台キャンパスJ2棟20階J2-2002中会議室

内容紹介:自己認識と他者理解

アクティビティ1:Forum(内省と対話)

■概要:自分自身の感情や最近の出来事をふりかえり、グループで共有することで、自己認識を深めるとともに、相手との対話の準備を整えるワーク
■内容:家族・友人・研究室の同僚との関係性や、最近1週間の「High(活力ある瞬間)」と「Low(落ち込んだ瞬間)」をできるだけ多く思い出し、その中から1つを選び、順に発表・対話しました。発話者の経験を深く掘り下げる質問を通じて、他者理解と共感を育みました。

アクティビティ2:研究トレンドの共有

■概要:自分の研究や関心分野について、過去20年のトレンドを初心者にも分かるように可視化し、グループ内で共有するワーク
■内容:個人で紙に自身の研究トレンドをまとめた後、グループ内で発表を行い、各自の気になった点や未来の展望について意見交換を行いました。自分の研究の位置づけを客観的に見つめ直す良い機会となり、他分野との意外な共通項に気づくことができました。

アクティビティ3:Tuning Fork(楽しさを発見した体験共有)

■概要:自分の研究や学びの中で「楽しみを感じた瞬間」をペアで共有し合い、他者の視点で要点を再構築するワーク
■内容:自分が心動かされた経験を語り、相手がその内容を要約・フィードバックします。他者の体験を自分の言葉で再確認することで、「相手の伝えたい内容が自分に伝わったか」や「自分が正しく認識できたか」に気づくことができました。

内容紹介:合意形成の実践

アクティビティ4:ToTALカリキュラムで育成できるスキルの優先順位決め

■概要:13のスキルから「ToTALが育成すべき7つの優先スキル」を選び、合意形成のルールに基づいて順位づけするグループワーク
■内容:最初に個人で優先順位をつけ、その理由についてもメモしておきました。その後、グループで40分以上の対話を通じて一つのランキングを作成しました。その際、多数決は禁止され、すべてのメンバーが「納得できる」状態を目指す合意形成に取り組みました。以下、気づいた点について述べます。一人ひとりの視点が異なる中で、少数意見を軽視せず取り入れることで、より豊かな議論が可能になることを実感しました。そして、合意形成には論理だけでなく、感情やチームの雰囲気にも気を配る必要があると実感しました。

感想

今回のプログラムを通じて、「自己認識と他者理解のための対話の工夫」と「合意形成の重要性」の両方を実践的に学ぶことができました。特に、研究分野のトレンド共有やtuning forkといったワークを通じて、他者の価値観や関心を知ることで、自分自身の立ち位置を見直すきっかけにもなりました。また、合意形成ワークでは、個人の意見を持ち寄り、議論の中で丁寧にすり合わせていくプロセスの中で、思考の幅が広がり、斬新なアイデア創出の可能性を感じました。これらの経験は、研究活動や将来の社会実装に向けた議論にも応用可能だと感じています。

追記

今回はオブザーバーとして参加させていただきましたが、グループの皆さんが積極的に対話しながら合意を目指していく姿が印象的でした。「合意形成なんて難しそう」と思っていた人にこそ、ぜひ体験してほしいワークショップです。対話の中で、多様な意見が交わり、1つの結論にたどりつくプロセスはとても刺激的であり、他の参加者の考え方から多くの学びが得られます。初心者でも安心して参加できるワークショップなので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

報告者

生命理工学院生命理工学系D1、ToTAL第6期生 村尾侑大