ToTAL科目「リーダーシップ・グループワーク基礎」対象のワークショップ「グラフィックファシリテーション(第2回)」を2025年6月15日に行いました。
ファシリテーター | 石橋智晴 (グラフィックファシリテーターとして全国各地のまちづくり、組織開発の分野で活動。 その後、NPO、企業、学校に属し内部からの変革に関わる。 現在は、変革真っ只中の中高に勤務。 共著『描いて場をつくるグラフィック・レコーディング: 2人から100人までの対話実践』学芸出版社(2021)) |
開催日時 | 2025年6月15日(日) 14:00–17:00 |
開催場所 | S4-202,、南4号館2階、大岡山キャンパス |
内容紹介:構造化と対話を通じたグラフィック化の実戦
アクティビティ1:アイスブレーク(絵しりとり)
■概要:絵だけで「しりとり」を行い、グラフィックコミュニケーションの感覚を養うワーク
■内容:「く」で始まり「ん」で終わるしりとりを、言葉を用いず絵だけを用いて3周以上つなぐワークを行いました。言葉を使わずに絵で伝えることの難しさと面白さを体験し、相手の意図をくみ取る観察力や相手に伝えるための表現力の大切さを感じました。答え合わせの過程では、伝わっていた部分とそうでない部分のギャップが浮き彫りになり、「視覚的に伝わりやすくする方法」のイメージが湧きました。


アクティビティ2:構造化のコツを見つける
■概要:既存の資料から「構造化」のコツを抽出し、グラフィックに応用するワーク
■内容:生が作成したグラフィックを巧みに取り入れた複数の資料が配布され、各グループで「構造化」における工夫や法則についてディスカッションを行いました。特に、色の組み合わせや質感の統一、分類と集類、近接の法則や見えない線の使い方、コントラストの出し方などが議論されました。その後、参加者の一人がファシリテーター役となり、各グループの知見を質問・整理しながら即興でグラフィケーションに挑戦し、様々なグループからの意見(情報)を「どのようにまとめるか」の感覚を体得しました。


アクティビティ3:フレームを考える
■概要:情報整理や可視化の枠組みを自ら設計する力を養うワーク
■内容:「その人の今後について」「事業立案」「企業の歴史」「今後10年のビジョン」の4つのテーマに対して、自分たちで構造のフレームを考案しました。正解のない問いに対し、まずは各自で考えた後、他のグループのアイデアを参考にしながら、自分たちの思考を「見える形」に整理していくプロセスを経験しました。最終的には、「自分が良いと感じたものを柔軟に取り入れる」ことの大切さを確認し、表現における多様性と創造性を学びました。


アクティビティ4:文章を構造化する
■概要:文章の要素を整理し、視覚的に表現する練習を行うワーク
■内容:未来の都市に関する文章を読み、各自が印象に残った要素を抜き出して構造化を行いました。情報の取捨選択やレイアウトの工夫を通じて、文字からグラフィックへと変換するプロセスを実践しました。視覚的にわかりやすくまとめることを意識しながら要点を整理することで、内容理解が深まるだけでなく、他者への共有も容易になることを実感しました。


アクティビティ5:自分のキャリアについて話し合い、構造化する
■概要:対話を通じて相手の情報を引き出し、グラフィックでまとめるワーク
■内容:グループで1人が話し、2人がさまざまな聞き方(共感的傾聴、質問、探求的対話)を交えながら話を深掘りし、そこから得られた情報を構造化し、グラフィックでまとめました。相手の思いを引き出すには、ただ聞くだけでなく、対話姿勢が非常に重要であることを学びました。またグラフィックを行う際は、各情報の重要さや関係性をどのように表現すれば良いか工夫を凝らしました。


アクティビティ6:文化祭出展プランの話し合いと構造化
■概要:決められた条件の中で複数の案を出し、構造化するグループワーク
■内容:6人グループで「予算3万円」「飲食不可」「教室内でできること」「自分もお客も楽しめる」という条件の下、文化祭出展のアイデアを出し合い、ファシリテーター役を1人決め、その人が構造化を行いました。議論を通して発想を広げる面白さと、内容をグラフィック化することで理解が深まり、グループ内の方向性が明確になることを体験しました。


感想
本プログラムでは、「対話」、「構造化」、「視覚化(グラフィック化)」が互いに密接に関係しており、3つ全てを考慮することで相手にわかりやすく伝えることが可能になることを実感しました。情報を整理し、グラフィックを駆使してまとめる力は、単に伝わりやすくするためだけでなく、自分自身の思考整理にも大きく役立つことを体感しました。特に、対話から得た内容を即時に構造化するワークは難しさもありましたが、相手を理解しようとする姿勢が非常に大事になることを学びました。また、「正解のない問いに、自分なりの意見を考えた上でまとめ、視覚的に分かりやすく相手に伝える」経験は、自分自身の研究や将来にも役立つ重要なスキルだと感じました。ぜひ今後もこのようなスキルアップを目的としたワークショップに積極的に参加し、自身の表現力をさらに磨いていきたいです。
追記
今回、私はオブザーバーとして参加させていただきました。参加者の皆さんが、楽しそうに集中してワークショップに参加することができていました。「グラフィックスキルを伸ばしたい」、「表現力を鍛えたい」など少しでも興味を持った人がいれば、普段の授業ではなかなか味わうことがないワークショップだと思いますので、是非参加してみてください!1から丁寧に教えてくれるので、初心者の人にもかなりおすすめのワークショップです!
報告者
生命理工学院生命理工学系D1、ToTAL第6期生 村尾侑大