AI時代にも残るプロジェクトの「むずかしさ」を対立を手がかりに考える対話型ワークショップ


概要
AIの進化により、タスク管理やリサーチといった「道具」の扱いは急速に効率化されています。しかし、人と人が力を合わせて何かを成し遂げようとするとき、最後まで残るのは「関係性」の難しさです。研究室という共同体の中でも、掃除や連絡、役割分担といった些細な場面で生じる「すれ違い」は、多くの場合、悪意ではなく、それぞれが無自覚に持っている前提のズレから生まれています。本講座では、この「すれ違い」を相手の人格の問題としてではなく、前提のズレとして扱い直すための視点と技術を、身体感覚を起点に体験的に学びます。
| 📂 カテゴリー | イニシアティブ |
| 📌 キーワード | 境界線、すれ違いのパターン、協働、AI時代のヒューマンスキル、自己理解 |
| 🎯 目的 | ・自分の身体感覚をたどることで、暗黙に持っている前提や譲れない一線に気づく ・効率化社会でも避けて通れない協力のすれ違いについて考え、対立を相手の人格の問題ではなく前提のズレとして扱えるようになる ・境界線を調整し、交渉し、必要なら引き直すための具体的な手立てを持ち帰る |
| 🌐 言語 | 日本語・英語(ディスカッションは言語別、資料は英語スライドのハンドアウトを用意します) |
| 👥 対象 | 大学院生・研究その他プロジェクトに関わっている学部生 特に研究室やチームでの人との関わりに課題を感じている人 |
| 🗓 開催形式 | 全2回(4時間 x 2回、要全回参加、対面) |
| ✅ 開催実績・予定 | #1; 2026年11月08日(日)14:00-18:00 #2; 2026年11月15日(日)14:00-18:00 2024,5年度 開催済(プロジェクト・リフレクション/Collaborative な研究環境をつくるリーダーシップ) |
| 📍 会場 | #1; S4-202, 南4号館 2階, 大岡山キャンパス #2; I1-256, 石川台1号館2階, 大岡山キャンパス |
| 🌟 こんな方におすすめ | ・研究室やチームでの人間関係に、うまく言葉にできない引っかかりがある方 ・言いたいことを飲み込んでしまいがちな方、自分の線をどこに引くか迷っている方 ・どこに行っても必要になる、人と組む力を身につけたい方 |
| 📊 ポイント数 | 合計 8ポイント(各回 4ポイント)(※授業履修者に付与するポイントです。詳細はシラバスを参照してください。) |
| 🎟️ 定員 | 15 名 |
主な内容
誰かと一緒に何かを進めようとして、うまくいかなかった経験は誰にでもあります。備品の補充、コップを洗うタイミング、既読後の返信などなど。こうしたすれ違いの多くは、悪意ではなく「言うまでもない」と思っていた前提のズレから起きています。とくに暗黙の前提のうち支配的なものは、いつのまにか規範として働き、自分と相手のあいだの境界線として機能しはじめます。
AIが仕事のパートナーになりつつある今、この暗黙の前提は重要性を増しています。一つは、人と人の間の問題として。確かに、仕組みや道具のレイヤーにおいては、AIによって解ける部分が確実に増えました。それでも、この暗黙の前提は、人と人が力を合わせる部分の問題として最後まで残ります。
もう一つは、AIに指示をするときにも、その暗黙の前提を言語化して渡さなければ、望む結果は返ってこないということです。つまり、相手が人であれAIであれ、協働の出発点は「自分が暗黙のうちに何を当たり前としているのか」に気づくことにあります。
このワークショップでは、まず自分の身体感覚——「言いたいことを飲み込む」「なぜかイラっとする」といった反応——から暗黙の前提を探り、それを相手の人格の問題ではなく認識のズレとして扱ってみます。実践の場から集めたすれ違いのパターンを持ち込みながら、境界線がある前提でそれをどう調整し、交渉し、必要なら引き直すのかを一緒に考えてみます。
ワークショップを設計するのは、20年間にわたりプロジェクトの伴走支援を続けてきた株式会社コパイロツト。結果が求められる企業でのプロジェクトを、あらゆる手を使って推進してきた実践的知見から、協働が直面する困難の構造を多角的に捉える方法を伝えていきます。
研究室でも、アルバイト先でも、家庭でも起きている「些細な行き違い」を持ち込んで、ワークショップの中で捉え直してみましょう。
<ワークショップの内容>
第1回 チューニングモデルから体験する「自分の体を感じる」
私たちは自分と環境のあいだで、絶えず何かを合わせたり、言いたいことを飲み込んだり、無理をしたりしています。この回では、そのプロセスをチューニングモデルとして紹介したうえで、「なぜかイラっとした」「その場では笑ってやり過ごした」といった自分の体験をたどり、そのとき体がどう反応していたかを探る体験ワークを行います。目指すのは境界線を分析することではなく、「圧を感じた、ということはここに何か境界線があるらしい」と気づく入口に立つことです。
第2回 境界を引き直す・付き合い方を考える
協働支援の現場から集めた「すれ違いのパターン」を持ち込み、参加者と一緒に検討します。備品を補充するタイミング、洗い物のリズム、既読のまま返信しないことなど、身近なパターンを並べていくと、対立の多くが悪意ではなく前提のズレから生じていることが見えてきます。全員にとって完璧な境界線を設計することは不可能だからこそ、線がある前提でどう調整し、交渉し、必要なら引き直すのかを、具体的な対応方法 戦術も交えて考えます。
ワークショップ設計/ファシリテーション
株式会社コパイロツト
株式会社コパイロツトは、プロジェクトマネジメントに特化した専門集団です。
多様な目的や背景をもつチームの協働を促進し、ゴールに向けて伴走する「副操縦士(コパイロット)」として、2005年に創業しました。デジタル領域や新規事業開発など、領域横断的なプロジェクトを支援し、成果を出しながら推進できるチーム・組織づくりを、メンバーと共に目指しています。
ファシリテーターからのメッセージ

長谷部可奈
企業内のプロジェクト推進を支援する弊社への相談で多いのが「人と人がうまく協働できない」という困りごとです。人と人が力を合わせて一つのことを成し遂げるのは、それぐらいむずかしい。
過ごしてきた時間や場所の違いは、それだけ異なる「暗黙の前提」を生みます。それはAIが台頭してきても変わりません。その「すれ違い」の元はどこにあるのか。この講座で一緒に暗黙の前提を探して行きましょう。

八木翔太郎
違和感は、考えるより先に体に出ます。「なぜかイラっとした」「その場では笑ってやり過ごした」という反応は、自分の境界線が押されたサインです。私は関係性が存在に先立つという関係的存在論を研究していますが、そこで繰り返し出会うのは、一見中立に見える枠組みほど強い前提を隠し持っているということです。このワークショップでは、その前提をいちど止めて言葉にしてみます。自分が何を当たり前としてきたのかが見えてくると、他者との関わり方も変わってきます。
過去の開催実績
参加者の声
- アクション結果の根本にある問題は誰しもそんなに変わるものではなく、悩んでいるのは自分だけではないと思えた。
- Frictionをシェアしあうことで、自分も同じ問題を持っている事を知ると同時に、その解決策をシェアしてもらう事ができた。
- 全く別の専門の人に自分の研究を深く説明する機会はなかなかなく、どこをアピールするか、自分がそのテーマに取り組む意義は何かを見直すきっかけとなった。
- I learnt that research is not supposed to be entirely done by yourself. A meaningful research is supposed to involve people with different ideas and expertise, but share the same goal.
- It’s nice to have an active document to refer back to. It makes it so much easier to design the project and stick to the timeline.
- This workshop is like a therapy session for me, where I am free to open up about my ideas and feelings.
- Good to figure out what I want to contribute to society
- Whenever I joined this workshop, it reignited my motivation to keep moving forward, especially on days when I felt stuck or unsure about the path I had chosen.
開催報告
【開催報告】Collaborative な研究環境をつくるリーダーシップ
連絡先教員
松崎由理
📩 matsuzaki.y.77a9 [at] m.isct.ac.jp


