ToTAL科目「リーダーシップ・グループワーク基礎」対象のワークショップ「つたえるラウンジ」を2025年4月30日(水)〜 7月16日(水)にかけて全6回(大岡山3回、すずかけ台3回)行った。


概要

何かを伝えるとき、「話し方」についてどのように考えているだろうか?もしかしたら話の内容を重視し、「話し方」をおろそかにしている人が多いかもしれない。しかし、「話し方」には多くの人が思う以上のパワーがあり、就活の面接や研究発表など様々な実生活の場面で生かすことができる。そこで本ワークショップでは特に「自分の主張に説得力を持たせる力」にフォーカスし、「話し方」に関する不安を取り除き、自信をつけるような場を提供する予定である。

実施報告(全3回)

第1回 

Session 1:アイスブレイク

目的:参加者同士の緊張をほぐす。
内容:「自己紹介」および「融合ファイター」を行った。ルールは自分の想像したユニークな超能力を各自で考えた後、グループで共有する。そして各能力を組み合わせて新しいスーパーヒーローを作る。

Session 2:講義

目的:説得力のある立論を構築する方法について学ぶ
内容:ディベートにおいて、立論とは「自らの立場(肯定または否定)を支持するために、論題に関連する問題点・解決策・効果・重要性などを一貫性と説得力をもって論理的に提示する説明」のことであることを学んだ。そしてAREA(主張・理由・例・再主張)について講義があり、立論にAREAを用いる重要性について学ぶことができた。さらにより説得力のある立論のための発展としてNLC(論点の数・論点のラベル・論点の中身)についても実践クイズを行いながら学ぶことができた。そして、どのように立論を準備すればよいかについても説明があり、立論全般に関する理解を深めることができた。

Session 3:実践ゲーム(立論ジェンガ)

目的:講義で学んだことを実践に応用する。
内容:まずは立論の評価を決めるうえで重要なポイント(論理的側面+感情的側面)について説明があった。立論を評価できるようになることは、より説得力があり、理解しやすい主張を述べるために重要であることを学んだ。その説明の後、立論ジェンガを行った。ルールとしては「賛成・反対・ジャッジ」の3チームに分かれ、提示された議題に関して賛成側と反対側が決められた時間内で考え、立論を述べ、ジャッジチームが勝敗を決めるゲームである。負けたチームはジェンガを抜く必要があり、ラウンドごとに役割をローテーションし、タワーが倒れるまで繰り返していく。このゲームを通じて、参加者は立論の実践力を身に付けることができていた。

第2回

Session 1:アイスブレイク

目的:参加者同士の緊張をほぐす。
内容:「自己紹介」および「ストーリーサイコロ」を行った。ルールは各自が文のパーツ(「どこで」「誰が」「何をした」のいずれか)について6つアイデアを考えた後、グループで共有する。そしてサイコロで出た目に書かれたワードを組み合わせて1つの分を作り上げる。

Session 2:講義

目的:トゥールミンモデルを用いた立論方法と話し方のポイントについて学ぶ
内容:第1回講義の内容のおさらいを授業の最初に行った後、イギリス出身の哲学者Stephen E. Toulminが提唱したトゥールミンモデルを用いた立論方法について講義があった。トゥールミンモデルを構成する6つの要素として「主張・限定・反証・理由付け・裏付け・根拠」があることを学び、具体例を扱うことでそれぞれの要素が例文中のどこで使われているかについてワークを行い、理解を深めていった。続いて話し方のポイントについて講義があり、「抑揚をつける」「フィラーをなくす」「スピード」「間の取り方」などいくつか重要なポイントがあることを学んだ。

Session 3:実践ゲーム(立論ジェンガ)

目的:講義で学んだことを実践に応用する。
内容:第1回の立論ジェンガのルールを一部変更し(主張を考える時間を10分に伸ばした)、より実践的なディベート形式でゲームを行った。各チームが第1回の時よりも話し方に説得力がつき、論理的に立論することができており、成長を感じた。

第3回

Session 1:アイスブレイク

目的:参加者同士の緊張をほぐす。
内容:今回は自己紹介のみを行った。

Session 2:講義

目的:クリティカルシンキングとそれに必要なコンテクストについて学ぶ
内容:第2回講義の内容のおさらいを授業の最初に行った後、クリティカルシンキングとは何か、なぜ重要なのかについて説明があった。クリティカルシンキングとは「他人」だけでなく「自分自身」にも目を向け、自分以外の人たちの多様な意見や考え方に耳を傾けながら、自分や他人の考えていることを精査することで、自らの考え方を高めていく思考方法であることを学んだ。そしてそれを鍛える要素として「コンテクスト」があり、前提、推定、信念、行動規範を検討することが重要であることを学んだ。

Session 3:実践ゲーム(立論ジェンガ)

目的:講義で学んだことを実践に応用する。
内容:第2回の立論ジェンガのルールから、主張を考える時間を12分に伸ばし、反論できるように反対側の主張を予測することも行った。賛成チームが2分で主張を述べた後、反対チームは4分以内で主張と反論を述べ、さらに実践的なディベート形式でゲームを行った。各チームは立論の精度はかなり向上したものの、反論がかなり難しそうな印象を抱いた。しかしラウンドを重ねるごとに反論にも慣れてきており、最終的には立論・反論を駆使して説得力のあるディベートを行うことができていた。

感想

今回の「つたえるラウンジ」を通して、これまで何気なく行っていた「話す」という行為の奥深さと、その中に潜む論理的構成力・表現力の重要性を実感した。普段、研究発表や就活の面接などで自分の考えを伝える機会は多いが、「内容」ばかりに意識が向き、「話し方」や「文章の構成」について深く考えることは少なかった。今回の講義やワークを通して、説得力を高めるためには、明確な主張を持つことに加え、その主張を裏付ける「理由」や「根拠」を整理し、相手の立場や文脈を踏まえて伝えることが大切であると学んだ。特に印象に残ったのは、立論を構築するための「AREA」や「トゥールミンモデル」、そして実践的に学ぶ「立論ジェンガ」である。理論的な説明だけでなく、実際に議題に対して立論・反論を行う過程で、自分の話し方の癖や論理の弱点に気づくことができた。また、相手の主張を聞きながらその背後にある前提や価値観を読み取る「クリティカルシンキング」の考え方も、研究やディスカッションにおいて非常に有用だと感じた。単に反論するのではなく、相手の意見を理解した上で自分の主張を磨くことが、説得力の向上につながると気づいた。今後は、今回学んだ構成法や話し方のポイントを日々の発表や会話の中で意識的に実践し、聞き手に伝わる「話し方」を身につけていきたいと考えた。

追記

私は今回、受講生およびTAとして参加し、このワークショップを受講するにつれ、参加者全員の主張の説得力が増していく様子を目の当たりにしました。話し方のスキルは日常生活の様々な場面で使用する機会があるため、多くの人にとって役立つと確信している。特に「論理的に考え、説得力を持って話すスキルを身につけたい方、人前で話すことに苦手意識があり、自信を持って発信できるようになりたい方に本ワークショップを強くお勧めします!

報告者

生命理工学院生命理工学系D1、ToTAL第6期生 村尾侑大