ToTAL科目「リーダーシップ・グループワーク基礎」対象のワークショップ「探究の対話 p4c」を2025年7月4日に行いました。
ファシリテーター | 豊田光世(新潟⼤学 佐渡自然共生科学センター コミュニティデザイン室 教授) |
開催日時 | 2025年7月4日(金) 17:30–20:00 |
開催場所 | S6-309A, 南6号館3階, 大岡山キャンパス |
内容紹介:【対話を通して共に「考える」学びの時間】
アクティビティ1:毛糸を使ったアイスブレイク
はじめに毛糸を使ったアイスブレイクを行いました。参加者が輪になり、毛糸のボールを受け渡しながら順番に自己紹介をしていきました。
テーマ①(1周目):専攻・嫌いな食べ物
テーマ②(2周目):このワークショップに何を期待しているか
2周を終えるころには、「コミュニティボール」が完成し、参加者全員のつながりが可視化された感覚を味わいました。この時点で、教室全体の雰囲気が和やかになりました。


アクティビティ2:p4c導入と対話のルール
ファシリテーターから、p4c(Philosophy for Children)の考え方が紹介されました。これは「考える力」や「他者との関係性のなかで問いを探究する力」を育む方法として、もともとは子ども向けに開発された教育手法です。特徴的だったのは以下の点です。
・対話の順番は「話した人が次に話したい人を指名する」形で決まる
・個人の意見に「正解」はない
・すべての発言に価値がある
・セーフティを構築する
通常の授業や会議では「順番」や「評価」によって話し手の順序が決まりがちですが、このワークでは「話したい人が手を挙げ、直前に話していた人が次話す人を決める」、「すべての発言を丁寧に受け取る」というスタイルを徹底していました。
アクティビティ3:問いの生成と対話の実践
「多様性」、「テクノロジー」、「人間」の候補テーマの中から多数決でテーマを「人間」に決定したあと、参加者がそれぞれの視点で「問い」を考え、共有しました。最終的に対話の中心となる「問い」を「人が生きていくうえで最も大事なものは何か」とし、それをめぐって60分程度、p4c形式で自由に対話を行いました。その際に、問いについて考えたことや疑問を語り合いながら、考えを掘り下げていきました。


アクティビティ4:ふりかえりと感想共有
対話後は全体でのふりかえりを行い、以下の点がp4cの目指す「対話」であることを改めて学びました。
・ディスカッションやデベートとは異なる。
・意見を戦わせるのではなく、言葉を通して思索する。
・他者の声にどう応答するのか?
・空間・場に言葉を重ねていくイメージ。
そして最後に参加者全員が以下の項目に関して各自の意見を述べました。
・対話を通しての感想
・質問したいこと


感想
今回のワークショップでは、「子どものための哲学(Philosophy for Children: p4c)」の対話手法を用いて、「問い」に対して「答えを出すこと」ではなく「探求し続けること」の意味と楽しさを体感しました。通常の議論や話し合いとは異なり、p4cでは問いを通じて思考の幅を広げ、他者との違いや様々な視点を受け入れ、それに基づき考える姿勢が大切にされていました。一人ひとりが問いに対して積極的に考えて発言しようとし、対話を深めようとしたからこそ、1つの問いに対して答えが出ることなく、深く向き合えたのではないかと感じました。普段、明確な結論や効率を求められがちな生活のなかで、ただ考え続けて良い、という時間がどれだけ豊かなものかを実感できました。
追記
今回、私はオブザーバー・参加者として参加させていただきました。参加者の皆さんが、1つの問いに対して真剣に考えて集中してワークショップに参加することができていました。「じっくり考える時間を大切にしたい人」、「話し合いの場で、発言が苦手・考えがまとまりにくいと感じる人」、「普段とは違う思考のプロセスを体験してみたい人」、「対話の場で、相手が安心して考えを話せるような関わり方を学びたい人」など少しでも興味を持った人がいれば、普段の授業ではなかなか味わうことがないワークショップだと思いますので、是非参加してみてください!初心者の人にもかなりおすすめのワークショップです!
報告者
生命理工学院生命理工学系D1、ToTAL第6期生 村尾侑大