今期のToTAL科目「(修士・博士)リーダーシップ・グループワーク実践 I/II(S)」のコンテンツであるLean Launchpad 第7回を2022年7月29日に行いました。

・科目群/Group: リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成/Leadership, followership, and consensus building
・科目/Course: TAL.W505・TAL.W603 修士リーダーシップ実践I/II <S>・博士リーダーシップ実践I/II <S>/ Master’s Practical Group Work for Leadership I/II<S>,Doctoral Practical Leadership I/II<S>
・プログラム名/Program:  Lean Launchpad #7
・開催日時/Date & Time: Jul.29th,2022,18:15-21:45
・ファシリテーター/Facilitator:堤 孝志

7/29(金)に大岡山キャンパスにて、5月末の合宿から約2ヶ月間に渡って行われたLLP(Lean Launchpad)を締めくくるFinal Presentationが行われました。8チームそれぞれが、独自の商品・サービスについてプレゼンテーションを行い、各チームが、自分たちのチーム以外で実際に利用したいと思うサービスを選び、投票した結果、Poetry Factoryが1位に輝き、Steve Blank Awardを手にしました。Final Presentationには本学のOB・OGの方々やTAの方々、昨年度のLLP参加者の方も参加してくださりました。

  • Team STEPS(weather news)

サービス概要:「Happy Anniv.」記念日レストラン予約サービス。ユーザーがアプリで「記念日登録」を行い、「リマインダー機能」で大切な人との記念日の「レストラン&プラン予約」を慌てず、焦らずできるサービスです。

Team STEPSは完成されたアプリのデモンストレーション、洗練されたプレセンテーションマテリアルを披露し、Early Adopter (以下EA)を2人見つけるという成果を納めました。

  • Team ARASHI

サービス概要:「グルグルTalk(GGT)」リアルタイム翻訳アプリ。ユーザーが慣れない言語でのコミュニケーションに困った時は「いつでも、どこでも、すぐに」、翻訳者とマッチングし、翻訳を得ることができます。さらに、「翻訳者を含めた三者間の通話」も可能にしたり、「ミュート機能」でプライバシーを守ることができます。

「いつでも、どこでも、すぐに」を可能にするための供給者(翻訳者)を見つけるのが難しいことが懸念点である一方で、コミュニケーションに不安がある顧客には強いニーズがあるサービスのようです。Team ARASHIは実際に、日本に来たばかりのドイツ人留学生などのEAを見つけることができました。

  • Team Poetry factory

サービス概要:「Poetry Factory」。詩おくり=詩のラッピングサービス。顧客が贈るプレゼントにマッチした詩を選択し、選択した詩をプリントした包装紙でプレゼントをラッピングするサービス。

Team Poetry Factoryは参加者にプロトタイプを披露したり、EAを見つけて実際に購入してもらったり、最も進歩が大きかったチームでした。審査員からは「実際に流通しているイメージが伝わってきた」というコメントもありました。

  • Team Amigos

サービス概要:「「Amigos」。同様の趣味を持った仲間を見つけることができるサービスです。イベント企画者が運営を行い易くしたり、グループチャット機能で仲間を増やすことができます。または参加者として自分の趣味に関連したイベントに参加したり、全く新しい趣味に挑戦することもできます。

Team Amigosはプロトタイプとしてアプリを作成し、デモンストレーションではアプリを使用しているイメージを沸かせてくれました。既存のマッチングアプリのような1対1で関係性を築くようなアプリとは異なり、グループでの新しい出会いを提供するという点で新規性があるようです。

  • Team Outa’

サービス概要:「Outa’」。自他ともに認められる”自分推し”ファッションとの出会いを提供するサービス。ファッションが自分を好きになる一つのファクターとし、”自分推し”を叶えてくれるサービスです。自分を変えたいと思うユーザーはWEBアプリを通じて、サポーターとマッチングし、”自分推し”を叶えるスタイリングを考えてもらうことができます。

Team Outa’のリーダーが、自身の研究を通じて男性の生きづらさとは何か気づいたものの、課題解決に至らなかった現状にヤキモキし、産み出したサービスです。参加者の中には学術的な面でこのサービスに興味を持つ人もいるようでした。

  • Team Process

サービス概要:「Process」。ユーザーは「作品」ができるまでの過程や作者のビジョンを知ることができ、製作背景に価値や魅力を感じて、「作品」と共に「製作背景(Process)」を購入することができるサービスです。

Team Processは「成果だけでなく、成果に至るまでの過程を評価すること」に重きを置いており、多くの共感を得たようです。実際に、Team Processが見つけたEAの中には、製作背景に魅力を感じて作品を購入した人がいたり、 「アートの価値って作品そのものより、そのコンセプトとビジョンにある」と同様の価値観を示した人もいました。

  • Team Freehand

商品概要:「どこでもゴミ箱」。ユーザーは街中で、ゴミを捨てたい時に「ゴミ箱の位置を検索」し、「QRコードをかざす」だけで、ゴミ箱にゴミを捨てることができるサービスです。街中や、公共施設でゴミ箱が設置されなくなり、不便に感じる人が多く、そのような人の課題を解決することができます。

想定されるユーザー像は広そうではありましたが、Team Freehandが見つけたEAはアウトドア好きな人という印象でした。EAの方が実際にFinal presentationに参加してくださり、このサービスを渇望しているようでした。

  • Team Otononiwa

サービス概要:「Otononiwa」。作詞者が作曲家に簡便に作曲の依頼ができるサービスです。作詞者が「自分の詩を投稿」し、「作曲家に依頼、マッチング」した後、「マッチングしたもの同士がコミュニケーションをとりながら作曲をおこなう」ことができます。

EAのコメントから、中国では作曲した曲の配信を自由に行えないことため、Team Otononiwaが提供するサービスは中国でのビジネスチャンスが大きいことが伺えました。

プレゼンでは各チームのサービスに対する強い思いが伺え、チームそれぞれが自身の好きなものを貫き通し、個性豊かな新規サービス、商品を産み出すことができたようです。そして、投票により見事1位に選ばれたのはTeam Poetry Factoryの「詩おくり」サービスでした。

本講義で講師を務められた堤さんからのコメントでは、「各チームがEAを見つけることができていた」という良い点があった一方で、「プロトタイプの作成が遅かった」や「大きなプロダクトの改善、洗練が見られなかった」という反省点があげられました。年々、アイデアやチームの取り組みのレベルが上がっているようで、来年の参加者には上記の反省点を念頭に、さらにレベルアップした新規サービスおよび商品を考えてほしいと思います。

最後に、本講義を通して著者が学んだことを述べたいと思います。本講義では、同志の仲間を集めることができ、仲間の力を借りながら、実際に新規事業立案の実技を行える、とても有意義な講義だと思いました。実際の企業が行う新規事業立案とは異なり、本講義では、学生の好きなものが尊重され、たとえ失敗しても大きなリスクを伴わないので、多くの学生が挑戦しやすいと思います。また、LLPの手法や、ビジネス成功のためのロジックを学べるだけでなく、活動を通じて、チームマネジメント力やリーダーシップ力も試すことができる良い機会だと思います。著者自身はチームリーダーを務め、ロジカルに考えることやメンバーをまとめることに難しさを覚え、試行錯誤しました。また、失敗を経験したことで、自分やチームを客観視し、本講義の意義や学びに気づくことができました。来年度のLLPにも、多くの学生が参加し、この機会を活用して多くの学びや気づきを得てほしいです。

(文責:原口陽菜 生命理工学院 生命理工学系ライフエンジニアリングコース M2、ToTAL 4期生)