システミック・デザインとは、システム思考の理論とデザイン思考の実践的な手法を組み合わせ、厄介で複雑な問題をシステムとして捉え、関連する要素や相互作用を考え解決策をデザインする手法です。複数のステークホルダーの視点を取り入れ、対象システムの問題を部分や全体を行き来しながら俯瞰的に分析し、持続可能で有用な解決策を考えます。

概要

  • システミックデザイン(Systemic Design)は、システム思考の理論とデザイン思考の実践的な手法を組み合わせ、複雑な問題を扱うアプローチとして、社会変革や複雑な社会システムのデザイン、ビジネスや政策策定、環境に配慮したエコシステムなどさまざまな領域で有益な手法として注目されています。
  • 多様な利害関係者が参加し、システム思考を使い複雑性を理解し、デザインプロセスを通じて課題に対する有効な解決策を発見し、実験と反復を繰り返すことで、システム内にいる自分自身の振る舞いやメンタルモデルへのリフレクションを促すことにあります。
📂 カテゴリーイノベーション
📌 キーワードシステム思考、デザイン思考、課題設定
🎯 目的「システム思考」「デザイン思考」という「方法論を、ハウツーとしてとらえず、複雑な要素の、課題を正しく抽出し、複雑な社会システムの設計に活用する能力をトレーニングする
🌐 言語英語・日本語
👥 対象学士課程学生・修士課程学生・博士後期課程学生
🗓 開催形式単発セッション(対面8時間)
開催実績・予定2026年2月7日(土)10:00-18:00
📍 会場S4-202, 大岡山
🌟 こんな方におすすめ・「システム思考」「デザイン思考」の方法論を活用してみたい
・社会に新たな価値を設定することを経験してみたい
・気候温暖化になんらかのアクションを起こしてみたい
📊 ポイント数7 ポイント(※授業履修者に付与するポイントです。詳細はシラバスを参照してください。)
🎟️ 定員40名

主な内容

本ワークショップのテーマ:システミックデザインで考える「都市を森にする資源循環の新常識」

  • 現在、人間の活動は地球の供給源にも吸収源にも過剰な負担をかけており、この結果、生態系に深刻な影響を与えています。猛暑、大雨、暖冬といった異常気象が立て続けに発生しているのもその影響です。2022年に発表されたIPCC(国連気候変動政府間パネル)のレポートは、「人々の行動変容が温室効果ガスの排出量を大幅に削減する」という新たな視点を示しています。即ち、個人の行動を変えることにより、温室効果ガスの排出量を2050年までに40~70%削減できる可能性があると報告されており、私たちが直面する気候危機に対する大きな希望を与えています。
  • 本ワークショップでは、システミックデザインを用いて、都市の温室効果ガス排出削減に向けた「都市を森にする資源循環の新常識」を考えます。ゴミを資源として循環させることで排出を抑制し、都市を森のように豊かな環境へと変えるために、すべての人々が自然に行動を変えていくにはどうすべきかを考えます。

ファシリテーター

飯盛豊

外資IT業界で経験を積み1999年⽶国シリコンバレーへ渡る。インターネット黎明期スタートアップ (現・ Google ) 創業参画。外資系マーケティング企業を経て独⽴。

• 慶應義塾⼤学⼤学院 システムデザイン・マネジメント学 修⼠ (SDM学)
• 慶應義塾⼤学⼤学院 政策・メディア研究科 修士
• 東⼤発イノベーション教育プログラム i.school 修了
• 慶應義塾⼤学⼤学院 システムデザイン・マネジメント研究所 研究員

沢井和也

1986年⽣まれ。2011年に理⼯学研究科を修了後、機械設計エンジニアとして製造業に従事。2021年よりECアパレル事業の事業部⻑としてWebマーケティング/CX領域を中⼼に事業全体のマネジメントに従事。

企業・教育現場双⽅の創造性をアップデートするため独⽴。現在はフリーランスとしてイノベーション創出のためのワークショップ・デザインやファシリテーションを⼿掛ける。

• 慶應義塾⼤学⼤学院理⼯学研究科 修⼠(⼯学)
• 慶應義塾⼤学⼤学院 システムデザイン・マネジメント研究科 修⼠(SDM学)
• 慶應義塾⼤学⼤学院 システムデザイン・マネジメント研究所 研究員

ファシリテーターからのメッセージ

皆さん、地球は、いま限界を迎えています。資源の過剰な消費と汚染の蓄積は偶然ではなく、私たちの加速的な生活とビジネス活動の結果です。この状況を変えられるのは、私たち一人ひとりの行動です。今日のワークショップでは、今までにない視点で考え、生活の質を保ちながらも資源の使い方を見直し、排出や汚染を減らすアイデアで「都市を森にする資源循環の新常識」を一緒に探っていきましょう。

皆さんの小さな気づきと行動が、大きな循環の変化を生みます。今日、この場で得た学びを、自分の行動に変えていきましょう。未来の地球を、よりよい場所にするのは、ここにいる皆さんです。

過去の開催実績

参加者の声

  • 現代の問題は複雑に絡み合っているものが多くあります。このワークショップは、「どこから手を付ければいい??」と感じるような時、どの問題に切り込んでいくのか見極めるために必要な問題を多角的に見る視点を学ぶことができます。きっと、将来仕事をするときにも、そして論文のIntroductionを書くときにもこの観点は役立つはず!(D1)
  • このワークショップでは、チームにおけるアイデア創出の具体的なやり方を実践的に学ぶことができます。実際に0からアイデアを出してプレゼンまで持っていかなければならない難しいワークではありますが、確実に自分の力になると思います。(M2)
  • This workshop helps us to think outside the box. We can see some problem from the bigger scope and also to pin point a core problem that causes these problems in the first place. This kind of thinking helps us especially as a student who does research in Tokyo Tech. (M2)
  • I highly recommend this workshop to anyone interested in sustainability and innovative problem-solving. It provides a comprehensive understanding of system and design thinking, and equips you with practical tools to tackle real-world challenges. The hands-on activities are engaging and insightful, making complex concepts easier to grasp.(M1)

開催報告

2021年7月10日開催「システムxデザイン思考 1-dayワークショップ」(報告者:篠田泰成 物質理工学院応用化学系D2、ToTAL 1期生)

連絡先教員

山田圭介(リーダーシップ教育院 特任教授)
📩 yamada.k.9f82 [at] m.isct.ac.jp

渡邊真由(リーダーシップ教育院 特任准教授)
📩 watanabe.m.6bd9 [at] m.isct.ac.jp

松崎由理(リーダーシップ教育院 特任准教授)
📩 matsuzaki.y.77a9 [at] m.isct.ac.jp