今期のToTAL科目「(修士・博士)リーダーシップ・グループワーク実践I/II(F)」のコンテンツであるProgramming Boot Camp/Developing Phase第1回を2021年12月5日に行いました。

・科目群: リーダーシップ、フォロワーシップ、合意形成
・科目: TAL.W504-02/TAL.W505-02/TAL.W602-02/TAL.W603-02 修士リーダーシップ・グループワーク実践I/II <F>・博士リーダーシップ・グループワーク実践I/II <F)>
・プログラム名: Programming Boot Camp/Developing Phase #1
・開催日時: Dec. 5th, 2021, 10:00-18:00
・ファシリテーター: 上野潤一郎(JuMデザイン合同会社)、金翔海、今橋陵、京極直丈(ギルドワークス株式会社)

Programming Boot Camp (以下PBC)のDeveloping Phase の第1回を2021年の12月5日に行ないました。第2-4回にあたる12月10-12日に行う集中的な開発合宿を効率よく行うためのポイント整理が主な目的です。

今期のProgramming Boot Campには、13 チーム(29名)およびチーム未定の9名の合計35名の参加申し込みがありましたが、10月18日に行った選抜ピッチで、6チームを選抜し、最終的に30名(ToTAL登録生:9名、本学大学院生:9名、本学学部生:7名、他大学生(学部):5名)が参加することになりました。

今期のProgramming Boot Campは、4日間にわたるDeveloping Phaseを通してアプリ開発を行うプログラムですが、昨年度までとは異なり、AdaloやBubbleといったノーコードツールでのアプリ開発を目指しました。そのため、希望者には、本Developing Phaseに先立ち、10月下旬から11月下旬までのほぼ毎週末、計5回のLearning Phaseを開催し、ノーコードツールの使用方法を教えていただきました。私を含め、ノーコードツールを初めて使う学生が多く、各グループ、アプリ開発を前にAdaloやBubbleについての基礎をじっくり学びました。また、今回のワークショップはコロナの感染状況が下火になっていたこともあり、幸い、対面で行うことができました。

 

今回のワークショップは下記の1.から4.までの流れで進行しました。
主に、上野さんのファシリテーションで行われました。最初に、全員で各チームの発表を聴き、開発するアプリについて情報共有を行い、それ以降動は、主にグループで、PC画面をプロジェクターでホワイトボードに映して議論を行いました。また、段階ごとに全員で各チームをまわり、質疑も交えながらそれぞれの進捗を確認しました。

 

1. 「何を開発したいのか」の共有:
各チームの開発テーマ、開発内容、開発の背景を中心に、チームごとに5分程で説明を行いました。アプリ開発にあたって、どのような人をターゲットにするのかなど、後述の「エレベーターピッチ」の内容まで考えていたチームもありました。

2. 「我々はなぜここにいるのか? 」についての整理:
まずは、「なぜ自らのアプリを開発したいのか?」について考えました。このことは、アプリ開発の方向性を決める根幹となる部分です。次に、いま存在する課題に対して、既存のアプリと異なる点を踏まえて、「誰に向けて」、「どのようなニーズを満たすのか」など、写真にある項目1つひとつについて考えました。
これら項目を、要領よく、短時間(30秒くらい)で伝え、他者にわからせるようにできれば、所謂「エレベーターピッチ」として、エレベーター内で、上司にプロジェクトの魅力を伝え、投資してもらえるようになるかもしれません。ここまでが午前のセッションでしたが、余裕のあるチームはアプリのイメージ、キャッチコピーといった、パッケージデザインの作成にも取りかかっていました。

3. 「やること、やらないこと」の洗い出し:
ここからは午後の活動です。ノーコードツールが、プログラムを全て書くスクラッチ開発と比較して簡単とはいえ、3日間でできることには限りがあります。タイトルの通り、このセッションでは、ユーザー登録など、最低限実装する機能、他のアプリケーションとの連携など諦めても良い、あるいは開発したいが諦めざるを得ない機能をチーム内で議論しました。

4. 「夜も眠れない問題」を承知しておく:
続いて、「夜も眠れない問題」と称して、プロジェクトのリスクの洗い出しを行いました。単に開発が進まないだけでなく、あるグループでは、人と繋がってランニングをする想定が、出会い目的で使用されるのではないかといった、アプリが本来とは違った目的で使用される問題があるなど、グループごとで違った課題が出ました。
また、想定する各作業の目的の重要度や、その開発結果のユーザーへの利点が与えるインパクトがどの程度なのかを、改めて吟味する「トレードオフスライダー」を提示いただきました。作業3日間だけで仕上げることを重視するのか、徹夜覚悟で、時間はかかっても内容を充実させることを優先するのかといったことを各項目毎に優先順位を改めて考え直し、チームとしての取り組み方を話し合いました。また、残りの時間は、ここまでの作業が終わったチームから順次、アプリの開発を開始しました。

 

【感想】

1日という短い時間の間でしたが、ほとんどのチームはアプリの意義や機能の具体的な構想も含め、1週間後に行う3日間の開発期間のための必要な準備を終えることができていたほど順調な進捗だったと思います。

ちなみに、私のチームでは、スタンプカードアプリの開発を予定していたのですが、最初の「我々はなぜここにいるのか?」のポイントで大きくつまずきました。つまずいたポイントは、「あまり知られていないイベントの参加者を増やしたい」といった非常に抽象的だった開発背景です。「あまり知られていないとはどの規模のイベントか?」「何人集まることを想定しているのか?」「スタンプにこだわる必要はあるのか?」といった問題点が浮き彫りになり、最終的にはスタンプとは無縁のイベント企画、参加登録フォームのアプリケーションの開発を行うことになりました。

しかしながら、この失敗から、本アプリ開発に限らず、何か企画を行う際、留学であったり、何かしらの活動をやりたいと思った時に、「なぜ、やりたいと思うのか?(Why?)」の部分がいかに大切かを学ぶことができたことが一番大きな収穫だったと感じています。ギルドワークスの皆さん、特にキムさんには、チームが迷走状態だった時に、「いま何を考えるべきか」といった丁寧に方向を示してくださるなど、たくさんのアドバイスをいただき本当に感謝しています。
この場で学んだことをこれから生かすとともに、たくさんの助けをいただきながらも、プロジェクト崩壊寸前から何とか解決策は見つかったという経験も踏まえて、失敗を恐れることなく、自分から積極的に物事に臨む姿勢を大切にしたいと思います。

o(文責:渡辺 佑 環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース M1、ToTAL4期生)