2021年、11月10日(水曜日)18:00-20:30、本学大岡山キャンパスにて「リーダーシップ探求ブックダイアローグ(日本語)」2021年度後期第1回が開催されました。

参加者は、ToTAL(リーダーシップ教育院)などの参加者を含むOPEN生、ToTAL特任准教授の嘉村賢洲 先生、松崎由理 先生を合わせて計11名でした。幅広いバックグラウンドの大学院生が参加しました。

新型コロナウイルスの状況下という事もあり、オフラインとオンラインのハイブリッド形式で運営を行いました。講義室に集まった対面のメンバーは、マスク着用、アルコール消毒、ソーシャルディスタンスの確保などに準ずる必要な対策を徹底しました。オンライン参加者もいたため、ZOOM接続やGoogleスライドを通して会場と双方向のやり取りを実現可能にしました。ファシリテータは、ToTAL 1期生の篠田が担当することになりました。ToTAL 3期生の小埜さんがTAとして補佐を務めてくださいました。

本読書会では、毎回 1. リーダーシップの開発に役立つ、2. 未来社会への洞察力を高める本を題材に、ワークショップ形式で勉強会を開催しています。「アクティブ・ブック・ダイアローグ」と呼ばれるユニークな読書会手法、短時間で密度の高い読書と参加者同士の深いディスカッションを実現しています。

(i) アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)

「リーダーシップ探求ブックダイアローグ」の読書会で実践されている手法は、ABDと呼ばれているものです。アクティブ・ブック・ダイアローグでは、(1)オープニング、(2)メイン、(3)エンディングというように流れが進んでいきます。特に、ABDのメリットは、事前準備の必要がない点、全員がその場で読むプロセスを行うため、読書会内での貢献度の差が起こらない点、参加者が作成したレジュメが記録として残る点などが挙げられます。

(1)オープニングは、(1-1)チェックイン、(1-2)オリエンテーションの2つのパートから構成されています。

(2)メインのパートでは、3つのプログラムが進行し、それぞれ個性的で魅力的なプログラムになっています。具体的には(2-1)サマライズ、(2-2)リレー・プレゼン、(2-3)ダイアローグです。(2-1)では、担当パートごとに本をアサインして読み、B5用紙6枚でサマリーを作成します。(2-2)では、各参加者が自らのパートを3分で説明します。

(3)エンディングでは、主に(3-1)チェックアウトをして、解散という流れになります。
ABDについて興味を持った方は以下のリンクからマニュアルをDLしてみてください。
(未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ、http://www.abd-abd.com/)

(ii) 選定書籍

今回の題材書籍は「進化思考」です。今年の4月に出版された本です。2019年に著者の太刀川さんがToTALのワークショップで進化思考のレクチャーをして下さったこともあり、今回の選定に至りました。ToTALのワークショップや研究活動を行う上で、アイディア発想をしたいときにも参考になるワークがたくさん入っている本でした。生物の進化のように変異と適応を繰り返すことで、だれでも創造性を発揮してアイディアを出せるように体系化された本という印象を受けました。
Book: 進化思考―生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」

(iii) リレー・プレゼンの様子

書籍を参加者の人数に担当箇所を割り振り、パート読みを行いました。続いて、各自のサマリー6枚をプレゼンする場を設けて行きました。今回も各々が個性的で素晴らしいプレゼンテーションをしてくれました。

 

オンライン参加者は、ZOOMとGoogleスライドを用いて会場と双方向で行いました。オンライン参加メンバーは次のように、スライドを各々で6枚作り発表をしてくれました。大変わかりやすいスライドを作ってくださり、図と話を通して分かり易く解説してくださいました。

 

(iv) 参加者の感想抜粋

・短い時間の中でたくさんのことを吸収しなきゃいけなかったので、良い頭の体操になりました。
・本を読むことは好きですが、文章を追うことが好きなだけなのか、時間が経つと結論を忘れがちです。ABDは、まさにアクティブで、忘れにくくなりそうだと思いました。
・限られた時間の中で本を読み、まとめるという作業は大変でしたがいい経験になりました。次回はもっとわかりやすく説明できるようになりたいです。
・一つの本を分担して読み、発表する経験は初めてだったので難しい部分もありましたが、とても楽しかったです。このブックダイアローグを通じて、自分がこれまで手に取る機会が少なかった話題に関する本を読んだことで、本選びの選択肢が広がりました。
・必要な情報を取捨選択する力、たくさんある情報から流れを把握する力は、本を読む以外にもさまざまなシーンで必要になる力なので、また参加して鍛えることができたらと思います!

(v) ファシリテータとして

ファシリテータを務めてみて感じた疑問を嘉村先生にご相談しました。せっかくなので、以下に共有させていただきます。今後、ファシリテータを務める方は参考にしてみてください。

1. 担当箇所を分けるときのコツ
基本的には前提や他の章での知識がなくても、基本的に本というのはロジックがしっかりしているので、サマリーは作れます。プレゼンリレーの時に初めて、ああそういうことかと理解してバトンを受け取り、自分の分のプレゼンをすることで問題ないと思います。
一方で、上記の理想に対して、実際は内容がわからないままに読むのは多少ストレスがあります。対処法として、全体像を把握してもらうために、1. 目次を配る、2. 序章やはじめの2、3章で簡単なABDをする(ウォーミングアップラウンド)ということを教えていただきました。

2. 本のチョイス
1. 前提知識が必要かどうか?、2. 本の論理構成だというご意見をいただきました。ToTALでは、学年、専門のバックグラウンド、留学生など多様なメンバーが集まるため、この二点を意識して今後本の選定できればと思いました。

3. サマリールール
個人的に、なぜ6スライドで3分がルールなのか、前提のルールが気になっていました。これは、いろんな形で試す中で最適化されたそうです。枚数が少なすぎるとサマリーが抽象化しすぎるし文字が小さくなりすぎる。良いプレゼンは適度な抽象化といくつかの具体的事例が混ざっているものでそれを表現するには6枚がちょうど良いという感じだそうです。

4. 最後に
ABDはToTAL生や学年などを問わず自由に参加できます。興味があれば気軽に顔を出してみてください。ブックダイアローグで取り上げた本は、大岡山、すずかけ台のToTALの学生室にありますので、気になる人は見てください。最後に、参加してくださった学生の皆さん、サポートいただけたTAの小埜さん、準備してくださった嘉村先生、松崎先生ありがとうございました。

文責:
篠田泰成 (東京工業大学 リーダーシップ教育院 1期生 2018年11月登録 / 物質理工学院 応用化学系 原子核工学コース 博士後期課程2年)
Yasunari Shinoda (1st year of Tokyo Tech Academy for Leadership student, Chemical Engineering, Tokyo Tech, 2nd year of doctoral student)