「つたえるラウンジ(横浜キャンパス)」ワークショップ(アントレプレナーシップ科目対象)第1回を2026年7月15日に行った。

ファシリテーター村尾侑大(生命理工学院 D2 ToTAL 第6期生)
開催日時2026年7月15日(水) 18:00–20:00
開催場所J3-309B 横浜キャンパス

概要

研究発表や学会、就職活動(グループディスカッション・面接)など、理系大学生には、自分の考えを論理的かつ分かりやすく伝える力が求められる。しかし、そのような「つたえる力」に苦手意識を持つ学生が多い。そこで本ワークショップでは、ディベートを題材として、主張を論理的に組み立てる方法や説得力を高める技法を学び、自信を持って自分の意見を発信できるようになることを目指した。

特に第1回では、ディベートにおいて主張を構築する際に重要となるAREA、NLC、True × Importantといった基本概念について講義を行った。また、それらを実践的に活用するため、「論理的自己紹介」や「立論ジェンガ」といったゲーム形式のワークを実施し、楽しみながら論理的思考と説得力のスキルを身に付けた。

Session 1:アイスブレイク

参加者同士の緊張をほぐす目的で、まずは自己紹介を行った。その後、「融合ファイター」というアイスブレイクを実施した。参加者はそれぞれユニークな超能力を考え、グループ内で共有し、それらを組み合わせて新しいスーパーヒーローを考案した。最後にヒーローの名前や能力を全体へ発表した。この活動を通して、参加者同士の交流が深まり、その後のディベートにも積極的に参加できる雰囲気づくりができた。

Session 2:講義

まず、ディベートにおける「立論」とは、自らの立場を支持するために、問題点・解決策・重要性などを一貫性と説得力をもって論理的に説明することであると学んだ。続いて、立論の基本としてAREA(Assertion・Reason・Example・Assertion)について学んだ。結論(主張)から話すこと、理由と具体例によって根拠を示すこと、最後に再度主張を述べることで、聞き手は理解しやすく、かつ印象に残ることを学んだ。

次に、複数の論点を整理して伝えるためのNLC(Numbering・Labeling・Contents)、自分の主張の信憑性と重要性を意識するTrue × Importantの概念についても学んだ。また、実際の文章を使用したクイズを通して、AREAやNLC、True × Importantがどのように使われているかを確認し、理解を深めた。 最後に、説得力のある立論を考えるための方法として、議題に関わるステークホルダーを洗い出すことや、その属性を具体化して様々な立場から考える重要性について学んだ。これにより、多角的な視点から主張を構築する方法を身につけることができた。

Session 3:実践ワーク①「論理的自己紹介」

次に講義で学んだ内容を実践に応用できるかを確かめる目的で、「論理的自己紹介」を行った。このワークは今年初めて実施したセッションである。参加者は2人1組となり、「趣味」「特技」「経験」などをテーマに、3つの内容のうち1つだけ嘘を混ぜた自己紹介を考えた。その際、AREAやNLCを意識しながら、論理的で分かりやすい構成になるよう工夫した。聞き手はどれが嘘かを推理し、最後に答え合わせを行った。このワークを通して、日常的な自己紹介でも論理構成を意識することで、より分かりやすく伝えることができることを体験できた。

Session 4:実践ワーク②「立論ジェンガ」

最後に講義で学んだ内容をディベートに応用できるかを確かめる目的で、「立論ジェンガ」を行った。参加者は「賛成」「反対」「ジャッジ」の3チームに分かれ、「研究室のコアタイム制度はあるべきか」、「大学生は一人暮らしより実家暮らしの方が良い」、「大学受験に面接を導入すべきか」のテーマについて、制限時間内で立論を考え、発表した。ジャッジチームは勝敗だけでなく、その理由についても評価を行い、負けたチームがジェンガを抜くルールでゲームを進めた。ゲーム形式で楽しみながら、論理的に意見を構築し、相手を説得する力を養うことができた。

感想

私は今回、ファシリテーターとして本ワークショップの講義を行った。参加者が「論理的に伝える」ことを意識しながら真剣に講義を受講する様子を間近で見ることができた。講義序盤のアイスブレイクでは、自分の意見を発信することに緊張している参加者も見られたが、AREAやNLCなどの手法を学び、実践ワークを重ねるにつれて、「結論から話す」「理由や具体例を整理して説明する」といった点を自然に意識できるようになっていたことが印象的であった。特に、今年度から新たに導入した「論理的自己紹介」は、立論ジェンガに入る前の良いウォーミングアップとなり、参加者がAREAやNLCを実際に使う練習を無理なく行える点で有効なワークであったと感じた。その結果、昨年度よりも参加者が自信を持って立論ジェンガに取り組み、論点を整理しながら発言する様子が多く見られたことから、導入した意義を実感することができた。

一方で、ファシリテーターとして改善すべき点も多く見つかった。例えば、ジャッジごとに評価基準が異なっていたため判定に時間を要したことや、発表者が特定の人に偏っていたこと、また、論理構成だけでなく、目線や話すスピード、フィラーなど「話し方」の工夫についても多少触れたらより良い講義になると感じた。 今回のワークショップを通して、「論理的につたえる力」は知識として学ぶだけでは身につかず、実際に考え、言語化し、フィードバックを受ける経験を繰り返すことで身につく力であることを改めて実感した。今回得られた参加者からの意見やTAとして参加したメンバーとの振り返りを次回以降の講義へ反映し、より良いワークショップへ改善していきたい。研究発表や学会、就職活動だけでなく、日常生活においても役立つスキルを身につける機会として、今後も多くの学生に参加してもらいたいと考えている。

報告者

生命理工学院生命理工学系D2、ToTAL第6期生 村尾侑大